きれいな歯並びのために
お子さまの歯並びについて、こんな疑問はありませんか?
- 「どうしてこの歯並びになったの?」
- 「放っておくと将来どうなるの?」
- 「矯正はいつから?費用や期間は?」
歯並びに関する不安は多くの方が感じていることです。当院では、成長期のお子さまの口や歯の発育を大切に考え、早い段階から健やかな環境を整えるサポートをしています。成長に合わせた対策をすることで、将来の噛み合わせのトラブルを予防することができます。このページでは、お子さまの成長段階ごとにできる取り組みをご紹介します。
不正咬合を予防できる4つの成長ステージ
お子さまの歯並びや噛み合わせには、成長段階ごとに整えるための大切なチャンスがあります。
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0〜2歳頃(乳歯が生えてくる時期)
乳歯が生え始める大切な時期です。指しゃぶりや舌の動かし方など、この頃の習慣が将来の歯並びに影響を与えることがあります。
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3〜5歳頃(乳歯が生えそろっている時期)
乳歯だけの歯並びが完成する時期です。噛み癖や口呼吸などを整えることで、健やかな顎や歯列の成長につなげることができます。
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6〜11歳頃(乳歯から永久歯への生え替わり時期)
乳歯から永久歯へと切り替わる大きな変化の時期です。永久歯が正しい位置に並ぶように、顎の成長をサポートすることが大切です。
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12〜14歳頃(中学生期・骨格の成長が盛んな時期)
顎や顔の骨格が大きく成長する時期です。歯並びや噛み合わせを整えるラストチャンスともいえる時期で、矯正治療の効果も出やすいとされています。
1. 生まれてから2歳までは、乳歯が生えてくる時期のチャンス
この時期は、将来の歯並びや噛み合わせの土台を作る大切な時期です。母乳育児は、免疫力を高めるだけでなく、鼻呼吸や舌の正しい位置、口まわりの筋肉の発達を助けます。ただし、生活スタイルや体調により母乳が難しい場合もありますので、無理せずご相談ください。授乳期間が長すぎる場合も注意が必要です。
離乳食では、前歯や奥歯を使ってしっかり噛めているかが重要です。さらに、うつ伏せ寝を避けることや、ハイハイ・四つん這いをしっかり経験させることで、正しい骨格や筋肉の発達につながります。また、この時期の指しゃぶりは無理にやめさせなくても問題ありません。おしゃぶりも顎や口の成長を助ける場合があります。
2. 3歳から5歳の幼児期は予防矯正のチャンス
この時期は乳歯が生えそろい、噛む力や口の機能が整ってくる大切な時期です。前歯の反対咬合(受け口)がある場合は、この頃から治療を始めます。当院では、以下のような点をチェックしてお子さまの健やかな発育をサポートします。
- 姿勢が正しく、両側でしっかり噛めているか
- 口を閉じる力が十分にあるか(必要に応じて風船などを使ったトレーニングを指導します)
- 舌を上顎につけられるか、また舌小帯が短くないか
- うつ伏せ寝がなくなっているか
- 指しゃぶりやおしゃぶりが卒業できているか
- 乳歯の前歯のすき間(発育空隙)が出てきているか
これらを確認し、必要に応じてトレーニングや生活習慣の改善を行うことで、将来の歯並びや噛み合わせのトラブルを予防していきます。
3. 乳歯から永久歯へのバトンタッチで小学生期のチャンス
小学生の時期は「混合歯列期」と呼ばれ、乳歯と永久歯がまざり合っている大切な時期です。前歯が生え替わる6〜8歳を前期、犬歯や小臼歯が生え替わる9〜11歳を後期に分けて考えることができます。
前期(6〜8歳)
永久歯の並びを予測しやすく、初期の矯正治療に最も適した時期です。姿勢や噛み方、口呼吸や舌の癖などを改善することで、顎の健やかな成長を助けます。ゲームや塾などで生活習慣が乱れやすい時期でもあるため、保護者と一緒に正しい習慣を身につけることが大切です。
後期(9〜11歳)
永久歯が次々に生えてくる時期で、予防的な矯正治療が特に効果を発揮します。非抜歯で治療を進められる可能性が高く、理想的なスタート期といえます。この時期も、指しゃぶりや頬杖、口呼吸などの悪い習慣を正すことが重要です。
小学生期は、歯並びを整えるうえで大きな分岐点となります。成長に合わせた適切なサポートを行うことで、将来のきれいな歯並びにつながります。
4. 永久歯列発育期のラストチャンス
12〜14歳頃は、すべての歯が永久歯に生えそろう時期です。ただし顎はまだ成長の余地があり、歯並びや噛み合わせを整える「最後のチャンス」といえる大切な時期です。将来的に矯正治療を希望される場合も、この時期に適切なケアを行うことで、なるべく歯を抜かない治療につなげやすくなります。
特に、花粉症や慢性的な鼻炎、遺伝的な骨格の影響などによって発育に差が出ることもありますが、生活習慣やお口の使い方を整えることで改善が期待できます。奥歯(第2大臼歯)が上下でしっかり噛み合うと顎の成長はほぼ止まると考えられています。その前に、口呼吸や舌の癖、頬杖などの悪習慣を確実に改善することで、大人になってからの歯並びの乱れを予防することができます。
予防矯正のすすめ
不正咬合(歯並びや咬み合わせの乱れ)は、放っておくと少しずつ悪化してしまいます。指しゃぶりや口呼吸、舌のくせ、片噛み、うつ伏せ寝や頬杖・猫背といった日常の習慣も、歯並びや顎の発育に大きな影響を与えます。そのため、早めの対策がとても大切です。
予防矯正の効果は早ければ早いほど効果が期待できます。乳歯列が整いコミュニケーションが取れるようになる3歳前後からスタートすることでさまざまな歯列不正を避けられる可能性が高まります。
予防矯正の主なメリット
成長期のサポートをしっかり行うことで、将来の健康的な歯並びと全身の健やかな発育につながります。
- 問題を早期に見つけて改善できる
- 正常な成長・発育を促すことができる
- 子どもの不快感や症状を早く取り除ける
- 難しい症例に進行する前に対策できる
- 永久歯を抜かずに治療できる可能性が高まる
- 経済的な負担を抑えられる
- 治療後の「後戻り」を防ぎやすい
当院の小児矯正について
当院では以下のような矯正方法をご提案しています。どうしても矯正が必要となってしまった場合には、お子さまの状態やご家庭のご希望を考慮し、最適な治療方法を一緒に決めていきます。
床矯正(マイオブレース、T4K)
顎の成長を促しながら、歯がきれいに並ぶスペースをしっかり確保していく治療です。主に永久歯が生え始める時期に行い、顎が小さいことで歯が並びきらないお子さまに適しています。
装置を装着した当初は違和感を感じることがありますが、時間とともに徐々に慣れていき、痛みも比較的軽く済むことが多いです。これにより、将来的な抜歯や複雑な矯正のリスクを減らし、自然で健康的な歯並びへと導きます。
当院は「T4Kトレーナー導入による歯列矯正実例セミナー」―マウスピース型矯正歯科治療の最前線―を修了しています。
当院は「T4Kトレーナー導入による歯列矯正実例セミナー」―マウスピース型矯正歯科治療の最前線―を修了しています。
ワイヤー矯正
歯にブラケットという小さな装置をつけて、ワイヤーで少しずつ歯を動かす方法で、これは大人が行う矯正治療と同じものになります。永久歯が生えそろったあとに適用されることが多く、細かい歯の位置調整に優れています。
歯を正確に動かせるため、さまざまな症例に対応できますが、見た目や歯磨きのしにくさが気になることもあります。そのため、定期的なクリーニングやケアをしっかり行うことが大切です。
マウスピース矯正
透明なマウスピース型の装置を使って歯を動かす矯正方法です。見た目が目立ちにくく、取り外しができるため、食事や歯磨きがしやすいのがメリットです。
軽度から中等度の歯並びの乱れに適しており、使い方を守れるお子さまにおすすめしています。ただし、自己管理が必要なため、親御さまのサポートも大切です。
矯正後のリテーナー使用とメンテナンスについて
矯正治療が終わったあとも、きれいな歯並びを維持するためには「リテーナー(保定装置)」の使用が欠かせません。リテーナーは最低でも2年間の使用が必要で、歯並びの状態によっては半永久的に使い続けることが推奨される場合もあります。
さらに、MFTを継続することで歯に余計な力がかからず、より安定した状態を保ちやすくなります。また、定期検診は3〜4ヶ月に一度のペースで行い、歯並びや噛み合わせの状態をしっかりとチェックします。必要に応じて装置の調整なども行い、後戻りを防ぐサポートを続けていきます。
MFT(口腔筋機能療法)の実施
MFT(口腔筋機能療法)とは、お口周りの筋肉を正しく使えるようにするためのトレーニングです。歯並びや噛み合わせだけでなく、発音や姿勢、呼吸の仕方にもプラスの効果があるため、矯正治療と合わせて行うことでより良い効果が期待できます。以下のような癖や習慣がある場合、MFTを通じて改善していきます。
口呼吸
本来、呼吸は鼻で行うのが自然ですが、常に口が開いていたり口呼吸が続くと、顎の発育に影響して歯並びが乱れることがあります。さらに、口腔内が乾燥することで、むし歯や歯肉炎につながることもあります。
MFTでは、鼻呼吸の習慣を身につけるためのトレーニングを行い、正しい呼吸法を習得していきます。
舌癖
舌癖とは、舌で前歯を押したり、常に舌が下がった位置にあるなど、舌の使い方に癖がある状態のことです。この癖が続くと、歯並びや噛み合わせに影響を及ぼし、不正咬合を引き起こす可能性があります。
MFTでは、舌を正しい位置に置く方法や動かし方を身につけることで、歯に余計な力がかからないようにしていきます。
逆嚥下
食べ物や飲み物を飲み込むときに、舌が前に出たり、唇に力を入れて飲み込む癖のことです。これも舌癖の一種で、前歯に圧がかかることで出っ歯や歯並びの乱れを引き起こすことがあります。
MFTでは、正しい飲み込み方を身につける練習を行い、習慣化された動きを少しずつ改善していきます。
小児矯正における当院の方針とサポート体制
当院は総合的な歯科医療の視点を大切にしており、小児矯正では治療の過程を親御さまと丁寧に共有しながら、わかりやすくご説明することから始めています。治療プランは、治療の目的に合った複数の装置の中から、装着期間・費用・痛みの程度、そして歯磨きや食事への影響なども考慮し、親御さまと丁寧に話し合ったうえで決定しています。また、治療の流れをより具体的にイメージしていただけるよう、実際の症例をもとにした治療例もご紹介しています。
そして治療中は、目立ちにくい装置を使ったり、模型や画像を用いてお子さまにもわかりやすく説明したりすることで、審美面への配慮とお子さまとのコミュニケーションの両面を大切にしています。矯正治療はお子さま自身が主体となるため、十分な説明と心のケアが大切です。お子さまの気持ちに寄り添い、無理のないペースで進めることで治療の中断を防ぎ、継続しやすくします。
安心して通っていただける歯科医院として、お子さまの健やかな成長をこれからも支えてまいります。