Denture

入れ歯(高齢者歯科)

著者:

毎日の健康を守る、お口の環境づくり

ご自身に合った入れ歯を見つけるために

歯を失ったままにしていると、見た目の変化だけでなく噛みにくさや発音のしづらさ、さらに他の歯や顎への負担など、さまざまな影響が出てきます。将来的なトラブルを防ぐためにも、早めの対応が大切です。入れ歯は単に歯の代わりではなく、「食べる」「話す」「笑う」といった日常を支える心強い味方です。きちんと噛めるようになると食事が楽しくなり、栄養もしっかり摂れて、全身の健康にもつながります。

「入れ歯って痛そう」「うまく使えるか不安」——そんな心配をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。でもご安心ください。お口の状態や生活スタイルに合わせて、あなたに合った入れ歯を一緒に考えていきます。入れ歯の土台部分に金属を使用した金属床義歯や、金属のバネを使わずやわらかい樹脂で作られたノンクラスプデンチャーなど、さまざまな選択肢の中からあなたのご希望やライフスタイルに合った入れ歯をご提案します。

まずはお気軽にご相談ください。あなたに合った、快適な毎日の一歩をサポートします。

ご自身に合った入れ歯を見つけるために

ご自身に合った入れ歯を見つけるために

入れ歯には、部分入れ歯・総入れ歯・自費診療の入れ歯など、素材や構造によってさまざまな種類があります。「なるべく違和感が少ないものがいい」「見た目を自然にしたい」「しっかり噛めるものがほしい」など、求めることは人それぞれです。

当院では、見た目・機能性・装着感などのバランスを考えながら、あなたのご希望やライフスタイルに合った入れ歯をご提案します。また、入れ歯は作って終わりではありません。使い始めは違和感を覚えたり思うように噛めなかったり、話しづらさを感じることもありますが、日々の使用と調整を重ねることで次第にご自身のお口にフィットしていきます。もし不具合や気になる点があれば、遠慮なくご相談ください。一緒にスムーズに使える状態を整えていきましょう。

入れ歯が向いている方

01

多数の歯を失った方

多数の歯を失ってしまった場合、噛む力が大きく低下し、食事や会話に支障をきたすことがあります。入れ歯は失った歯の機能を補うことで、しっかり噛める環境を取り戻し、食事の楽しみや日常生活の質を向上させます。部分入れ歯や総入れ歯など、失った歯の数や場所に合わせて適切なタイプを選ぶことができるため、幅広いケースに対応可能です。

02

インプラントやブリッジが難しい方

インプラント治療は骨の量や全身の健康状態によっては適応が難しい場合があります。糖尿病や心疾患などの全身疾患がある方や、手術ができない方にとっては、入れ歯が身体的負担を抑えた現実的な治療選択となります。また、ブリッジは隣接する健康な歯を削らなければならないため、歯を削りたくない方や削る歯が不足している場合にも、入れ歯が適しています。

03

治療費を抑えたい方

入れ歯は保険適用が可能なため、比較的費用の負担を抑えられる治療方法です。自費の入れ歯でもインプラント治療に比べて費用を抑えやすいため、経済面を重視しつつ、しっかり噛む機能を取り戻したい方や、限られた予算の中で歯の治療を検討している方に適しています。

04

年齢を重ねた方・身体的に負担をかけたくない方

高齢の方や、持病の関係で外科手術にリスクを感じる方にとっては、身体への負担が少ない入れ歯が適しています。外科的処置を伴わないため安心して治療を受けられ、無理なく口腔機能の回復を目指せます。

入れ歯のリスク

  • 慣れるまでに時間がかかる場合があります。
  • 噛み合わせが合わず痛みが出ることがあります。
  • 発音がしづらくなる場合があります。
  • 口内炎や粘膜の傷ができることがあります。
  • 入れ歯の破損や劣化のリスクがあります。
  • 定期的な調整やメンテナンスが必要です。
  • 入れ歯の清掃が不十分だと口臭や感染の原因になることがあります。

入れ歯治療の期間・回数の目安と流れ

入れ歯作製の期間は通常、約2週間から1ヶ月ほどで、5回程度の通院を経て完成します。ただし、自費の入れ歯など特殊な場合は、さらに時間がかかることがあります。

STEP 01.

カウンセリング・診察

お電話またはWEBにて、お悩みの内容と患者さまのご希望やお悩みをじっくりとお伺いし、現在のお口の状態を詳しく診察します。歯や歯ぐきの健康状態、噛み合わせのバランスなどを確認し、最適な入れ歯の種類や治療方針を一緒に考えます。来院のご希望日時をお伝えください。

STEP 02.

型取り

お口の形や歯ぐきの状態に合わせて、精密な型取りを行います。この型取りが入れ歯のフィット感や安定性に大きく影響するため、丁寧に行います。

STEP 03.

噛み合わせの確認

入れ歯がしっかり機能するためには噛み合わせが重要です。噛み合わせの高さや位置を細かく確認し、自然な噛み心地を目指して調整します。

STEP 04.

試適

試作した仮の入れ歯を口腔内に入れ、装着感や噛み合わせ、見た目をチェックします。違和感や痛みがないかを確認しながら、必要に応じて調整を重ねます。

STEP 05.

入れ歯の完成・装着

最終的な入れ歯が完成したら装着し、歯ぐきへのフィット感や噛み合わせを最終調整します。お口にぴったり合うよう、慎重に仕上げます。

STEP 06.

メインテナンス・定期検診

入れ歯装着後も定期的に状態をチェックし、ズレや痛みなどの不具合があれば調整を行います。また、入れ歯のケア方法のアドバイスも行い、長く快適に使えるようにサポートします。

入れ歯を自然な見た目に仕上げるコツ

天然歯に近い色合いを選ぶ

入れ歯の歯の色は、患者さまの天然歯に近い自然な色味を選ぶことが大切です。白すぎず、ベージュやオフホワイトのような健康的で自然な色合いが理想です。また、歯ぐきの部分も自然なピンク色に調整し、人工的に見えないように周囲と調和させることが重要です。

お顔に合った自然な歯の形と配置

入れ歯の歯の形や大きさは、患者さまのお顔の輪郭や元の歯の特徴に合わせてデザインします。大きさや丸みを調整し元の歯並びに近い配置に整えることで、不自然さを抑え、患者さまの笑顔に自然に馴染む仕上がりを目指します。お顔全体のバランスを考慮したデザインは違和感を感じさせず、自然な印象を与えます。

入れ歯の安定性とズレを防ぐ工夫

入れ歯の安定性は、使いやすさと見た目の自然さに直結します。そのため、義歯の内側を精密に作り込み、歯ぐきとの隙間を極力減らして吸着力を高めています。こうした工夫で、食事中や会話中に入れ歯がずれにくくなり、違和感や不安が軽減されます。さらに、しっかりとフィットすることで発音が安定し、見た目も自然な印象を保てます。

入れ歯の使い心地を良くするポイント

Point01

入れ歯を清潔に保つ

入れ歯を清潔に保つ

入れ歯には細菌や汚れが付着しやすいため、毎日の丁寧な洗浄が欠かせません。専用のブラシや義歯用洗浄剤を使い、食べかすやプラークをしっかり落としましょう。清潔な状態を保つことで、口臭や口内炎の予防にもつながります。また、汚れが溜まると義歯の劣化を早める原因にもなるため、定期的なケアは快適な使用感を長持ちさせるポイントです。

Point02

口腔内の環境を整える

口腔内の環境を整える

唾液には入れ歯の吸着を助ける大切な役割があります。唾液の量が減ると入れ歯がずれやすくなり、不快感や痛みを感じることも。こまめな水分補給を心がけるほか、毎日のブラッシングやうがいで口内を清潔に保ち、ドライマウスの予防をしましょう。必要に応じて、歯科医院での唾液分泌を促す治療や保湿剤の利用も検討するとよいでしょう。

Point03

食事の工夫をする

食事の工夫をする

硬すぎる食べ物や粘着性の高い食材は、入れ歯がずれたり痛みを感じたりする原因となります。また、無理に大きな口を開けて噛むと、入れ歯に負担がかかり破損のリスクも高まります。そのため、最初のうちは噛みやすく柔らかい食材を選び、食べる量も少しずつ調整しながらゆっくり食べることが大切です。こうした工夫で入れ歯への負担を軽減し、より快適に食事を楽しめるようになるでしょう。慣れてきたら徐々に食事の幅を広げていくことをおすすめします。

入れ歯を作り変えるタイミングとは?

入れ歯は長く使っているうちに少しずつ劣化したり、歯ぐきや顎の骨の形が変わることで合わなくなってくることがあります。そうした変化により、噛みにくさや違和感が出てくることも。一般的には、5〜7年を目安に新しい入れ歯に作り替えることが推奨されています。ただし、お口の状態には個人差が大きいため、年数だけで判断するのではなく定期的な歯科医院でのチェックが欠かせません。

以下のような症状がある場合は無理に使い続けず、早めにご相談ください。

  • 入れ歯がぐらつく・外れやすい
  • 痛みや違和感がある
  • 変色などにより見た目が気になってきた
  • ひび割れや破損がある

適切なタイミングで入れ歯を見直すことが、お口の健康と快適な生活を守ることにつながります。

筋肉のバランスを整える新しいリハビリ

D-function(ディーファンクション)

D-function(ディーファンクション)

D-functionは、顎や口まわりの筋肉をやさしく電気で刺激することで、筋肉のバランスを整える新しいリハビリ用の機器です。普段の生活の中で負担がかかりやすい咬む筋肉(咬筋)やこめかみの筋肉(側頭筋)に、左右同時に均等な刺激を与えることで、凝り固まった筋肉をほぐしたり、動きをスムーズにしたりすることができます。この装置は、顎関節症で「口が開きにくい」「噛むと痛い」といった症状がある方、義歯に慣れにくい方、咬み合わせを安定させたい方に効果が期待できます。高齢の方や手術後のリハビリにも使われており、口の機能を回復・維持するサポートにつながります。

使い方はとてもシンプルで、専用のパッドを頬やこめかみに貼るだけ。痛みや不快感もほとんどなく、安心して治療を受けていただけます。コンパクトで静かな設計なので、診療中も快適です。D-functionは理学療法などでも使われている方法をもとに開発され、研究や臨床でも効果が報告されています。筋肉の緊張を和らげ、顎の動きを改善する安全性の高い治療法として、多くの患者さんに役立てられています。

主な対象となる症状・お悩み

  • 噛むときに左右のバランスが悪い、筋肉が固まっている感じがする
  • 入れ歯を入れても噛みにくい、慣れるのに時間がかかっている
  • 高齢の方や手術後で、口の動きや噛む力が弱ってきている

入れ歯のよくある質問

  • 入れ歯のお手入れ方法は?

    汚れやにおいを防ぐために、使用後は水洗いだけでなく、専用のブラシや義歯用洗浄剤を使って丁寧に清掃しましょう。歯磨き粉は入れ歯に傷をつける原因になるため使用せず、熱湯による洗浄も変形のおそれがあるため避けてください。適切なお手入れを続けることで入れ歯を清潔に保ち、快適に長く使用することができます。

  • 入れ歯をつけたまま寝てもいいですか?

    基本的には、入れ歯は外して寝ることが推奨されます。
    口腔内を休ませて歯ぐきの健康を保つだけでなく、就寝中の誤嚥(ごえん)リスクを避けるためにも、外す習慣が大切です。また、入れ歯は乾燥すると変形するおそれがあるため、外したあとは水や洗浄剤に浸けて保管しましょう。

  • 入れ歯と口臭の関係とは?

    入れ歯に付着した食べカスやプラークに細菌が繁殖し、口臭の原因になることがあります。そのため、毎日の丁寧な洗浄に加え、歯科医院での定期的なクリーニングも大変効果的です。専門的なケアで落としきれない汚れを除去することで、口臭予防につながります。

  • 入れ歯の素材にはどんな種類がありますか?

    保険が適用される入れ歯は、主にプラスチックの一種である「レジン」で作られています。比較的安価で、調整もしやすいのが特徴です。一方、自費診療では薄くて丈夫な金属を使った「金属床義歯」や、柔らかくて痛みを軽減するために使われる「シリコンの裏打ち材」なども選択肢にあります。これらは装着感が良く、快適さや耐久性に優れています。素材ごとにメリット・デメリットがあるため、歯科医師と相談しながら自分に合った入れ歯を選ぶことが大切です。

  • 入れ歯はどのくらいの頻度で調整が必要ですか?

    入れ歯の調整頻度は使用状況や個人差によりますが、最初のうちは数週間から1ヶ月に一度のチェックが理想的です。新しい入れ歯は慣れるまで違和感や痛みが出やすいため、細かく調整を行いながらお口に馴染ませていきます。慣れてきたら、3〜6ヶ月に一度の定期的なメンテナンスで問題がないか確認しましょう。

  • 入れ歯を作るのにかかる費用はどのくらいですか?

    入れ歯の費用は、保険適用か自費診療かで大きく異なります。保険適用の入れ歯は、素材や仕様が限定されるため比較的安価に作ることができます。一方、自費診療の場合は、素材やデザインの選択肢が広がるため費用は高くなる傾向にあります。また、見た目や機能性にこだわるほど費用は上がります。具体的な費用は歯科医院によって異なるため、入れ歯を作る際は事前にしっかり相談し、自分の希望や予算に合ったものを選びましょう。