小児歯科の重要性
お子さまの歯の健康は、将来の口腔環境や全身の健康に大きく関わる重要な要素です。乳歯は一時的なものと思われがちですが、永久歯の生え方や噛み合わせに大きな影響を与えるため、乳歯の時期からの適切なケアが欠かせません。
そのケアの中に今もっとも注目されているのがお口ポカンです。お口ポカンによって顎の成長が妨げられ、将来的にガタガタ歯列や虫歯のリスクが高まるということが近年の研究や統計ではっきりと明らかになってきています。学校歯科医会でも重要な位置付けとなり積極的に取り組む必要があるとされています。
お口をしっかり閉じられない、あるいは舌足らずではっきり話せない、などの口腔周囲の筋力の発達不全は病気ではありません!検査すると6割以上の子供達があてはまるとの結果も出ています。それには現代の食生活、アレルギー性鼻炎、花粉症人口の多さ、YouTubeやパソコンなどのデジタル社会における生活に起因していることが大きいでしょう。同時に昔よりも歯並びや口元の審美性や機能性が肉体的健康や精神的健康につながっていると言えるのも現代社会の特徴です。
口腔機能を簡単な検査で数値化して問題点を早く知ることが保険でできます。
お口ポカンや口呼吸、食事の時も口を閉じれない、など気になることがありましたら早めの検査をお勧めします。
口腔機能の検査とは
お子さまの健やかな発育には、「むし歯がないこと」だけでなく、正しく噛む・飲み込む・話す・呼吸するといったお口の機能がしっかり発達していることも大切です。
当院では、これらの機能を確認するために「口唇閉鎖力測定」を中心とした口腔機能の検査を行っています。
お子さま一人ひとりの発達段階に合わせて、必要に応じたトレーニングやサポートもご提案します。
口唇閉鎖力測定の重要性
安静時に口が「ぽかん」と開いたままの状態を「口唇閉鎖不全」といいます。この状態が続くと、食べ物をうまく噛めなかったり、口呼吸が習慣化して風邪をひきやすくなったりすることがあります。また、将来的には姿勢の乱れや、肥満・生活習慣病などのリスクにも関係するといわれています。
こうしたトラブルを予防するために重要なのが、「口唇閉鎖力測定(くちを閉じる力の検査)」です。痛みのない簡単な検査で、お子さまの口を閉じる筋肉(口輪筋)の発達状態を客観的に確認することができます。
早期に測定・改善を行うことで、正しい呼吸や食べ方の習慣を身につけ、健やかな発育をサポートすることが可能です。お子さまの健康な成長のために、定期的な口唇閉鎖力のチェックをおすすめします。
口唇閉鎖力測定機器「りっぷるくん」
当院では、口唇閉鎖力を測定する機器として「りっぷるくん」を導入しています。お子さまでも簡単に測定でき、数値で「くちを閉じる力」の発達を確認できるのが特徴です。
測定方法はシンプルで、歯と唇の間に挟む「りっぷるボタン」を「りっぷるくん」でやさしく引っ張るだけ。その抵抗値をもとに、唇を閉じる力を数値化します。
測定結果はトレーニング計画の目安にもなり、成長の変化を“見える化”できます。
トレーニング器具「りっぷるとれーなー」
りっぷるとれーなーは、お口まわりの筋肉をやさしく鍛えるトレーニング器具です。誤飲防止ストッパー付きで、小さなお子さまからご高齢の方まで安心して使用できます。
口を閉じる力(口唇閉鎖力)を高めることで、正しい呼吸・発音・食べ方の習得をサポートします。
そのほかにも、あいうべ体操や舌のポッピング運動、発音練習、ガムトレーニングなど、目的に合わせたトレーニングを組み合わせて行うこともあります。
当院の小児歯科に対する取り組みと想い
当院では、お子さまが歯科医院を「怖い場所」ではなく「楽しく通える場所」と感じられるよう、安心できる環境づくりに力を入れています。リラックスできる院内の雰囲気づくりはもちろん、優しく丁寧な対応を心がけ、治療への不安を和らげる工夫をしています。
診療時には「バイ菌マンをやっつけよう!」など、お子さまにもわかりやすい言葉で説明し、器具にも少しずつ慣れてもらいながら、無理のないペースで治療を進めていきます。たとえ最初は泣いてしまってもお子さまの順応力は高いので、楽しさを感じられれば自然と協力的になってくれることが多いです。
また、成長段階に応じた適切な治療・予防処置を提供し、一人ひとりに合ったケアを大切にしています。親御さまにも、お子さまの歯の健康管理やご家庭でのケア、食生活について分かりやすくご説明し、日常的なサポートにつなげています。
特に、定期検診やフッ素塗布、シーラント処置などの予防歯科に力を入れており、むし歯の予防とともに「歯医者さんに通うことでお口がきれいになって歯が強くなる」と、小さな頃からポジティブに認識してもらうことを大切にしています。将来的にも健康なお口で過ごせるように、幼い頃から歯科医院を身近な存在とし、定期的に通う習慣を身につけましょう。
小児歯科における予防対策と治療法
お子さまの歯を健康に保つために、当院では以下の予防対策と治療法を実施しています。
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定期検診とクリーニング
定期検診はお子さまの口腔内の健康状態をチェックし、むし歯や歯肉炎などのトラブルを早期に発見するための重要なステップです。また、定期検診では歯に付着した歯垢や歯石を取り除くクリーニングが行われます。これにより、むし歯の原因となる細菌を減らし、健康な歯を維持することができます。
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フッ素塗布
フッ素には、歯の再石灰化を助けて表面を強くする働きがあり、むし歯の原因となる酸から歯を守る効果があります。特に、乳歯や生えたばかりの永久歯のむし歯予防にとても効果的です。定期的にフッ素を塗布することで、むし歯予防だけでなく歯が酸にさらされたときのダメージも受けにくくなります。
脱灰が見られるお子様にはクリーニング後に継続的にフッ素塗布を行うことにより歯質を強化しています。特に永久歯が生え始める時期はむし歯リスクが高くなるため、しっかりとケアすることが大切です。 -
シーラント処置
奥歯の噛み合わせ部分には深い溝があり、食べかすや汚れが溜まりやすい場所です。シーラント処置は、噛む面の溝をフッ素が含まれているシーラントで埋めることにより虫歯ができにくい状態にする予防法です。処置に痛みはなく、むし歯のリスクを大きく減らすことが期待できます。
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歯磨き指導
お子さまがきちんと歯を磨けるように、基本的な歯磨きの方法から汚れが残りやすい部分のケアまで、一人ひとりに合わせて丁寧にアドバイスしています。また、親御さまには仕上げ磨きの大切さやコツをわかりやすくお伝えし、むし歯予防のポイントもしっかりとご説明します。
さらに、定期検診では実際に染め出しを行い、染まった部分を口腔内カメラや鏡で確認してもらいながら、正しいブラッシング方法を指導します。お子さまが歯を大切にする気持ちを育て、毎日の歯磨きが自然と習慣になるようサポートしています。 -
口腔機能の発達サポート
口腔機能の発達は、歯並びや噛み合わせに大きな影響を与えます。
当院では、正しい舌の使い方や呼吸、姿勢、指しゃぶりや口呼吸などの癖に着目し、日常生活の中で気をつけたいポイントをアドバイスしています。また、「よく噛む」ことの大切さを伝えながら、おやつの選び方や食べ方、噛みごたえのある食品の取り入れ方など、食育や栄養面についてもわかりやすくご説明しています。お口の機能がしっかり育つことで、自然な歯並びや健やかな成長をサポートします。 -
むし歯治療
万が一お子さまにむし歯ができてしまった場合も、できるだけ痛みを抑えた治療を行っています。麻酔は表面麻酔や電動麻酔を使用し、できるだけ痛みを感じにくくすることで、お子さまの負担を軽くするよう心がけています。
また、レーザーの光でむし歯の深さを数値で測定できる「ダイアグノデント」という機器を使い、目では見つけにくい初期のむし歯までしっかりと診断します。必要に応じて、むし歯菌を蒸散させて取り除くレーザー治療も取り入れています。治療後には、再発を防ぐための予防法や日常のケアについてもわかりやすくアドバイスしています。
親子で始める予防歯科
妊娠期から産後のケアまでサポート
お子さまのむし歯は、実は親御さまの口腔環境が大きな影響を与えることが知られています。そのため、当院では親子での予防歯科を推奨しており、0歳から始められる予防ケアを提供しています。近年では、妊娠中であっても安定期に入っていれば口腔ケアを受けることが推奨されており、実際に多くの方が取り入れるようになっています。妊娠中はホルモンバランスの変化により、妊娠性歯肉炎などの症状が出やすく、お口の中で菌が増えやすい状態になります。そのため、妊婦さんご自身が歯石除去などのケアを受けることは、産後にお子さまへの菌の感染を防ぐうえでも非常に重要です。
また、産後のママ向けに歯科相談も行っており、母親の歯の健康や授乳期の口腔ケアについてアドバイスをしています。お子さまの健康な歯を守るためにも、妊娠期からしっかりとした予防ケアを行うことが大切です。